特集 市民活動と福祉
「えむえむ関東102号」より
=EMネット埼京=
修道院(福祉活動)でのEM活用
イエスのカリタス修道女会  シスター大野祐子  西山いつみ

1、福祉に関する見識
 
 
イエスのカリタス修道女会は、修道女会のビジョンとして、イエスのみ心の愛の使徒として、神秘家・預言者的な奉献生活を深め、その体験を喜びのうちに証しする共同体、分裂している現代世界の中で、交わりと和解のしるしとなるために、父なる神と子なるイエス、そしてその愛の実りである聖霊の交わりを目指す愛の共同体、人間の尊厳といのちを守り、創造の秩序回復のために力を尽くし、世界に希望の福音を告げる共同体です。とりわけ社会福祉のために私たちは互いに祈り、助け合いながら、全ての人、特に貧しい人や病める人にイエスの聖心の愛(カリタス)を伝える使命を持って活動しています。
 
2、福祉施設の概要

(1)乳児院
乳児院は児童福祉法により、下記のような事情で赤ちゃんを家庭で育てられないとき、0歳から2歳までの赤ちゃんを児童相談所からの相談で24時間お預かりしています。
①お母さんが病気や出産で入院しなければならず赤ちゃんの養育に困るとき。
②お母さんが家庭で長期療養するため赤ちゃんの世話ができないとき。
③家庭の事故や病気による入院でお母さんが付き添わなければならないとき。
④両親の死亡、別居、離婚、家出、その他の理由で赤ちゃんの養育ができなくなった場合
⑤その他、子育て支援として母と子の遊びの教室、育児相談、電話相談などを行っ
ています。             
乳児院は児童福祉法に基づき、関係機関からの委託により委託された乳幼児に対し、 キリスト教的人間観とカリタス(聖愛)の精神に基づき、キリストの愛と信頼、忍耐をもって接することにより、乳児の中にひそむ可能性を大切にしながら、真の人間育成へと発達を促進させるよう心がけつつ養育いたします。
子どもたちが愛されていることを感じることが出来る養育、保育を心がけ、すべての子どもたちの幸せと健やかな成長を願っています。そして里親に引き取られていく子供さんもおられます。

(2)児童養護施設
長期にわたって家庭復帰が難しいと思われる児童を対象に、地域社会の民間住宅などを活用して、近隣住民との適切な関係を保持しつつ、家庭的な環境の中で、養育を実施することにより、児童の社会的自立の促進に寄与することを目的として運営しています。
 ここには、日本管区本部修道院を中心として、シスターの養成のための修道院、乳児院、養護施設、幼稚園、高齢のシスターたちの修道院が併設されています。
         
3、EM活用のきっかけ

EM活用のきっかけは、3年前関東EM普及協会のホームページを見てEMネット埼京の「EM基礎講座」に本会のシスター3名が受講。
その年に全支部からシスターが集まる機会を利用して、「EM環境出前ミニ講座」をお願いし、「EMとは・・・」の基礎と「米のとぎ汁EM発酵づくり」実習講座をしていただき、さらに同年の夏にEM廃食油固形石けんづくりとEMボカシづくりの実習を含む出前講座を受講しました。
さらに昨年の12月には、上記の講座を受講した施設長の計らいで併設する乳児院において実施された“EMでの清掃を中心にしたEM環境ミニ出前講座”に若い保育士さん、看護士さん、栄養士さんなどが受講しました。
その後、全国的な展開が進み、昨年には沖縄の「ホテルコスタビスタ」に2泊3日のEM研修旅行を実施し、本管区からも管区長含め数名参加しました。
 
4、EM活用実践

〈 EM廃食油プリン石けん編 〉
写真はEMプリン石けんづくりと完成したプリン石けんです。
使用場所は手洗い場に常備。キッチンでの使用結果は写真にあるように、湯沸し場の頑固な汚れのホースはプリン石けんで洗う前のホース(A)に比べ、洗浄後(B)のホースは新品と思う程、きれいになっています。
又、キッチンプレートも見違えるほどに新品同様になっています。汚れが落としにくい蛇口も見事に汚れが落ち、ピッカ、ピッカになり写真のとおり眩しいくらいです。
     
     
     
     


〈 床掃除編 〉 
 
ホールの床掃除での年に一回のワックス掃除では、過去強めのグリーン液(化学洗剤)をかなり薄めて使用していましたが、手も荒れ、使った排水も流すと環境にも良くありませんでしたが、EM石けんでは手荒れもなくよく落ち、使った後の排水も環境浄化に役立ち一石三鳥になっています。


〈 飲むEM 〉
 当施設は常時40~50名利用する食堂のテーブルにEM活性液(EM1と黒砂糖で有用醗酵させたもの)を調味料と一緒においてあります。スプレー式になっていて、野菜サラダなどドレッシングと一緒にふりかけ食していて、テーブルによって消費量が違いますが、中には横においてある補充用のペットボトルのものをそのまま飲む方もいます。
結果、風邪を引く人が減り、健康になった人が多くなりました。写真は醗酵させるために必要な加温ケースとコーヒーメーカーの横に置いている状態です。

< 消臭編 >
 
 毎朝、早朝ミサの前にEMWを500倍に薄めて噴霧して、気持ちの良い雰囲気になっています。特に冬場は暖房のため、窓を閉め切りますので空気がよどみ、EM隊長さんと呼ばれているシスター(EM担当)のアイデアでエアコンの温風を利用してミスト状態のEMを噴霧しています。お陰で爽快で心地よいミサになっています。
 消臭活用でのビックリするエピソードがあります。
 そのひとつは、庭の木からとった銀杏を処理する過程において強烈な臭いを発していたので、「そうだEM散布だ!」と気付き散布するとたちまち臭いが消え、予想以上の結果にみんなビックリです。
 もうひとつは、昨年、講堂で“東日本大震災 被災者支援 チャリティーコンサート”を開催することになり、300名を超える来場者があるとのことで、倉庫に長くしまっていたイスを出すことになりましたが、倉庫内でネズミの排泄物等で悪臭がして、翌日にコンサートを控え困り、これもEMでの消臭を即実施。たちまち臭いは消え当日は気持ちの良いコンサートができ、本当に助かりました。
 EM担当シスター(西山)は、業務もある中、熱心に企画し、活用を広め、支部から来たシスターがEM石鹸などを購入して帰り、さらに各地からの要請に応じて送ったりもしています。
 
< EMボカシ編 >
 
 EMボカシづくりは専用のEM容器で醗酵させています。又、EM生ごみ堆肥は容器が順次増え、今では6基ぐらいになっています。
できたEM生ごみ堆肥は専任の担当者が施設に隣接する畑に活用しています。できた作物は施設内での料理の食材として食しています。






< 水質浄化編 >
 EM団子づくりも実施。シスターみんなで作り、醗酵済みEM団子を悪臭のする近くの下水の暗渠に投入、たちまち悪臭は消えました。
 金魚の写真は、EM活性液とEM団子できれいになった本部前の池です。まるで緋鯉のように大きく育ったものがいます。
 
   
   

 < EM活性液ペットボトルを畑に! > 
 
右の写真は沖縄での比嘉教授の青空農園でのEMによる結界を試みたものです。
 付随の農園では野良猫が徘徊し、畑を荒らして困ったり、野鼠で被害を受けているので、写真のようにEM活性液ペットボトルを置いてみました。
 結果は効果抜群で置いた畝には、被害が出なくなり、置かなかった畝の枝豆などは被害を蒙り、EMによる効果が実証された経験をしました。 

< EM廃食油石けん編 >
 石けんづくりに必要な食用油は知り合いの奥様方からも届き、EM固形石けんづくりをしています。
 写真はガーゼで濾しているところです。
  担当のシスターたちが心を込めて作り、今は使用しなくなった大型ワゴン台車を流用して効率よく、石けんを乾燥しています。
 完成品は地域のバザーなどに出店販売し、EMの地域への普及活動に努めています
     
     

5、これからの展開と夢

 長崎など他県にある事業所でもEMEMボカシづくりや生ごみ堆肥の活用での野菜作りなどで子供たちへの環境保全教育が進んでいることもあり、今後は、こんなに効果のあるEM活用を修道会内だけでなく、外に向かって活動を広げて行きたいと思っています。どうぞ、わたしたちのホームページもご覧下さい! 以上